原子力イノベーター養成キャンプ
Nuclear Innovator Cultivation Camp (NICC)

活動
ACTIVITIES

令和6年度 原子力イノベーター養成キャンプ NICC2024 を開催

「原子力イノベーター養成プログラム」(Nuclear Innovator Cultivation Program: NICP)は、2024年7月30日から8月6日にかけて「原子力イノベーター養成キャンプ」(Nuclear Innovator Cultivation Camp: NICC2024)を実施しました。

NICC2024は、NICP事業に協力する米国6大学(マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ノースカロライナ州立大学、テキサスA&M大学、カリフォルニア大学バークレー校、ウィスコンシン大学マディソン校)から参加する大学院生とのグループワークや福島第一原子力発電所見学などを通じて、国際的に活躍できる原子力のイノベーションを担う人材を育成することを目的としています。

NICC2024には、国内の原子力系大学院に所属する大学院生6名、国内の原子力系企業に所属する若手研究者1名、米国から招待された大学院生6名の計13名が参加しました。

プログラム初日の7月30日は、上坂充・原子力委員長による、オープニングキーノートとして「日本の原子力開発の現状と今後」と題した講演がありました。

講演を行う上坂原子力委員長(7月30日)

会場の様子(7月30日)

上坂原子力委員長との集合写真(7月30日)

午後からは5つのグループに分かれ、「私たちは何を開発してきたか」というテーマに、これまでに建設されている原子炉の開発の歴史を調べ、その結果を発表しました。

グループワーク(7月30日)

グループワーク(7月30日)

グループワーク発表(7月30日)

グループワーク発表(7月30日)

7月31日には、技術研究組合国際廃炉研究開発機構(IRID) 奥住直明氏の「福島第一原子力発電所廃炉 研究開発の現状と課題」と題した講演がありました。その後、参加者は東京工業大学ゼロカーボンエネルギー研究所の2つの研究施設を見学しました。午後から再びグループに分かれて「社会から求められる原子力の条件」というテーマで議論を行い、その結果を発表しました。

講演を行う奥住氏(7月31日)

奥住氏の講演を聞く参加者(7月31日)

ゼロカーボンエネルギー研究所・ペレトロン加速器の見学(7月31日)

ゼロカーボンエネルギー研究所・ニュークリアセラミックス実験室の見学(7月31日)

8月1日および2日には視察旅行を実施しました。1日、参加者は日本原子力研究開発機構(JAEA)大洗研研究所を訪問し、高温工学試験研究炉(HTTR)および水素製造試験装置を見学しました。翌2日は、東京電力福島第一原子力発電所(1F)を訪問しました。参加者は、廃炉事業とその進捗状況について説明を受けた後、専用バスおよび徒歩にて原子力発電所構内を見学しました。

JAEA大洗研究所にて(8月1日)

東京電力による概要説明(8月2日)

福島第一原子力発電所1号機前にて(8月2日)

福島第一原子力発電所2~4号機前にて(8月2日)

ALPS処理水放出口を見学(8月2日)

ALPS処理水サンプルとともに(8月2日)

東京電力廃炉資料館にて(8月2日)

翌週の8月5日、Advanced Float代表取締役・姉川尚史氏による「安全性を向上させる浮体式原子力発電所」と題した講演がありました。その後、参加者たちは、「私たちはこれから何を開発すべきか」をテーマに、原子炉の用途、具体的な炉系、コンセプト、開発ロードマップ、予算、経済性および福島事故を踏まえた安全性などを評価し、新型原子炉開発プロジェクトを提案するグループワークにとりかかりました。

講演を行う姉川氏(8月5日)

質疑応答に応じる姉川氏(8月5日)

グループワーク(8月5日)

グループワーク(8月5日)

最終日の8月6日には、小原徹・NICP代表が「ブリードバーン高速炉の未来」と題するクロージングキーノート講演を行いました。その後、各グループはそれぞれ提案する新型原子炉開発プロジェクトについて発表しました。

最後に修了式で、小原代表より各参加者に修了証が手渡され、すべての日程を終了しました。

グループワーク発表(8月6日)

グループワーク発表(8月6日)

グループワーク発表(8月6日)

グループワーク発表(8月6日)

講評を行う小原NICP代表(8月6日)

講評を行う片渕准教授(8月6日)

修了式(8月6日)

修了式後の懇親会にて(8月6日)

参加者の声

  • 東京は猛暑でしたが、NICCは素晴らしい経験でした。参加者のほとんどがハイレベルの大学院生であったことを考えると、それぞれの研究についてのプレゼンテーションを聞くことができればよかったと思います。グループワークや学生のプレゼンテーションは、あまり専門的でなかったり、学生にテーマについて深く考えさせなかったりしたため、特に興味深いものではありませんでした。将来的には、グループごとに異なるテーマで検討した共通のプロジェクトを立ち上げることが有益かもしれません。全体としては、このプログラムは、米国外の原子力産業についての考え方を広げる上で素晴らしい経験であり、必ずまた参加したいと思います。
  • 原子力関係企業の社員ではない学生たちとディスカッションし、彼らの新鮮な意見を知ることができたことは、とてもよかったです。
  • 素晴らしかった。
  • 原子力についてアメリカ中心ではない視点を経験し、日本人と交流する機会を得ることができたことは大変よかったです。なぜなら、日本人は、核に関し原子力発電および戦争を通じて特異な経験を持つからです。様々なレベルや国籍の学生や専門家、そして東工大教員の方々と交流できたことに感謝しています。
  • 素晴らしいプログラムでした。特に歴史的なことを学べたことは非常に価値がありました。
  • 特に原子炉見学が良かったです。グループプレゼンテーションでは、自分のコンフォートゾーンから一歩踏み出すことができました。2つ目のテーマは私にとって最も難しいものでしたが、同時に最もやりがいのあるものでした。このプログラムの運営に携わったすべての方々と、私たちを招待してくれた東京工業大学に感謝します。
  • 私にとって素晴らしい経験でした。日本の文化に触れることができ、東工大の学生や先生方がとても親切に私たちを助けてくれたことが本当にうれしかったです。HTTRと福島原子力発電所を見学できたことは一生に一度の経験であり、このプログラムのハイライトでした。
  • NICC2024への参加は素晴らしい経験だったと思います!原子炉の歴史を再認識し、新しいタイプの原子炉に関する洞察に満ちた講義を聞き、試験研究炉が実際に開発されて使用されているのを見ることができました。プログラムのコーディネートも素晴らしく、この分野について他の若い専門家たちと話すことができてよかったです。全体として、これは非常に洞察に満ちた経験であり、今後参加する人にも勧めたいと思いました。
  • 原子力とは何か、また原子力の日本社会における位置づけについて、視野を広げることができました。
  • 素晴らしい機会でした。

令和6年度 原子力イノベーター養成キャンプ NICC2024 募集要項 

東京工業大学では文部科学省国際原子力人材育成イニシアティブ事業として、原子力イノベーター養成プログラム(Nuclear Innovator Cultivation Program: NICP)を実施しています。令和6年度のNICPの活動として原子力イノベーター養成キャンプ2024(Nuclear Innovator Cultivation Camp: NICC2024)を開催します。

NICC2024は、米国主要大学から参加する大学院生とのグループワークや福島第一原子力発電所見学などを通じて、国際的に活躍できる原子力のイノベーションを担う人材を育成することを目的としています。意欲ある大学院学生および原子力分野の若手技術者・研究者の参加を期待しています。

主催 東京工業大学 原子力イノベーター養成プログラム NICP
日程 2024年(令和6年)7月30日(火)~ 8月6日(火)
場所 東京工業大学大岡山キャンパスおよび福島第一原子力発電所ほか
参加対象 日本国内の大学院生(日本人学生および留学生)および原子力分野の若手技術者・研究者(社会人)
定員 12名
参加費用 無料
支援内容
  1. 開催期間中の宿泊および移動手段はプログラムが提供します。
    (東京近郊にお住まいの方、社会人の方には東京での宿泊施設は提供されません。社会人の方には、福島での宿泊費用もご負担いただきます。)
  2. 通学大学キャンパスから開催地(大岡山)までの往復国内移動もプログラムが支援します。
    (社会人および日本国内にお住まいの留学生は、開催地までの往復国内移動の支援はありません)
  3. 期間中の食事(代)は全食自己負担です。
応募方法 オンラインフォーム  にてお申し込みください。
参加申し込み締め切り 2024年6月7日(金)正午
選考

書類とオンライン面接による選考を行います。 オンライン面接では、10分程度の面談による英語能力の確認をします。

選考結果は6月17日(月)に本人にメールで通知します
オンライン面接実施日時 6月14日(金)9:30~12:30(日時詳細は各応募者に連絡いたします)
問い合わせ先 原子力イノベーター養成プログラムNICP事務局(nicp[at]zc.iir.titech.ac.jp)

令和6年度 原子力イノベーター養成キャンプ NICC2024 プログラム
*予告なく変更する場合があります。 


2024年7月30日(火) (東京工業大学大岡山キャンパス
09:30 開会式
10:00

オープニングキーノート

 日本の原子力開発の現状と今後   原子力委員長 上坂 充氏
11:30 オリエンテーション
12:00 昼休み
13:00 グループワーク(テーマ1:私たちは何を開発してきたか)
16:00 グループワーク発表
17:00 終了
18:00 懇親会
  解散(周辺のホテル宿泊、通学可能学生は帰宅)
7月31日(水) (東京工業大学大岡山キャンパス
09:30

講演1

 福島第一原子力発電所廃炉 研究開発の現状と課題   IRID 奥住直明氏
11:00 ゼロカーボンエネルギー研究所見学
12:00 昼休み
13:00 グループワーク(テーマ2:社会から求められる原子力の条件)
16:00 グループワーク発表
17:00 終了(周辺のホテル宿泊、通学可能学生は帰宅)
8月1日(木)
09:00 集合・バスで福島へ移動
12:00 昼食
13:00 JAEA大洗  HTTR見学
18:00 ホテル着(富岡町内ホテル宿泊)
8月2日(金)
08:30 ホテル発
09:00 福島第一原子力発電所見学
12:30 昼食
13:30 東京へ移動
17:00 東京着・解散(周辺のホテル宿泊、通学可能学生は帰宅)
8月5日(月) (東京工業大学大岡山キャンパス
09:30 講演2
 安全性を向上させる浮体式原子力発電所  Advanced Float 姉川尚史氏
11:00 グループワーク(テーマ3:私たちはこれから何を開発すべきか)
12:00 昼休み
13:00 グループワーク(続き)
17:00 終了(周辺のホテル宿泊、通学可能学生は帰宅)
8月6日(火) (東京工業大学大岡山キャンパス
09:30 クロージングキーノート
 ブリードバーン高速炉の未来  東京工業大学 小原 徹
10:00 成果発表会(テーマ3)
12:00 修了式
  解散(周辺のホテル宿泊、通学可能学生は帰宅)

○ グループワーク
3名程度で1グループを構成。与えられたテーマに対してグループごとに検討し、発表会でその結果を発表する。3名のうち1名は米国大学からの招待学生、2名は国内からの参加学生・社会人を予定。
○ グループワークのテーマ
【テーマ1】

私たちは何を開発してきたか
これまでに建設されている原子炉の開発の歴史をグループ毎に調べ結果を発表する。対象の炉型;PWR、BWR、プリズム型HTGR、ぺブルベッド型HTGR、重水炉、ナトリウム冷却高速炉。

【テーマ2】

社会から求められる原子力の条件
社会から求められる原子力の条件をグループ毎に検討し結果を発表する。

【テーマ3】
私たちはこれから何を開発すべきか

新型原子炉開発プロジェクトの提案を行う。用途、具体的な炉系、コンセプト、開発ロードマップ、開発予算、経済性、福島事故を踏まえた安全性等を評価し発表する。

ニュークリア イノベーション ブートキャンプ 2023 (NIB2023) を開催

「原子力イノベーター養成プログラム」(Nuclear Innovator Cultivation Program:NICP)は、そのプログラムの一環として、米国ニュークリアイノベーションアライアンス(Nuclear Innovation Alliance:NIA)とともに2023年7月31日から8月11日にかけて「Nuclear Innovation Bootcamp:NIB2023」を、東京工業大学大岡山キャンパスにて開催しました。

NIB は、NIA が主催する例年米国で行われている合宿形式のセミナーで、専門家主導のセッション、チームビルディング演習、グループプロジェクト設計およびコンペティションからなる 2 週間の夏季体験を通じて、原子力エネルギーの革新に不可欠なスキルを学生や若手プロフェッショナルに訓練することを目的としています。今年度は初めての日本での開催となりました。

参加者は29名で、4名の東京工業大学大学院生のほか、米国、英国、アルゼンチン、ジャマイカ、イタリア、オーストリア、ベルギー、ガーナ、ナイジェリアからの参加がありました。原子力工学分野の大学院生・学部生および若手社会人のほか、法律や機械工学などを学ぶ大学院生や、エネルギー・気候変動分析やエネルギー政策に携わる若手専門家なども参加しました。

NIB2023について

東京工業大学にての集合写真(7月31日)

初日の7月31日には、上坂充・内閣府原子力委員会委員長をキーノート・スピーカーとしてお招きし、日本の原子力開発の現状と原子力分野での技術革新の見通し(“Current Status of Nuclear Development in Japan and Expectations for Innovation in the Nuclear Energy Field”)について俯瞰的なご講演をいただきました。

また、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)東京電力ホールディングス株式会社、日本の主要原子力関連メーカー(東芝エネルギーシステムズ株式会社日立GEニュークリア・エナジー株式会社三菱重工業株式会社)から講師の方々を派遣いただき、講演およびパネルディスカッションにご登壇いただきました。参加者の日本の原子力技術に対する関心は非常に高く、活発な質疑応答が行われました。

上坂充原子力委員長の講演(7月31日)

質問をする参加者(7月31日)

パネルディスカッションの様子(7月31日)

原子力関連メーカーの講師の方々との質疑応答(8月9日)

8月3日および4日には福島視察旅行を実施し、参加者はJAEA楢葉遠隔技術開発センター(NARREC)と東京電力福島第一原子力発電所を訪問し、福島における廃炉事業とその進捗状況について学びを深めました。

JAEA楢葉遠隔技術開発センターにて(8月3日)

同センター研究管理棟VR室にて(8月3日)

福島第一原子力発電所ブルーデッキにて(8月4日)

福島第一原子力発電所ALPS処理水サンプル(8月4日)

参加者は、複数のチームに分かれ、ディスカッションを通じて原子力関連の新規ビジネスの創出を企画し、資金計画を含む事業計画を策定します。同時に、米国から招かれたスピーチ・スキルの専門家による訓練を通じて、発表能力や質疑応答力を磨きました。

アイディア・ジェネレーション(8月2日)

グループワーク(8月2日)

メンターからのアドバイスを聞く参加者(8月2日)

スピーチ・トレーニング(8月8日)

最終日には、コンペティションが開催されました。各チームはベンチャー・キャピタリストや原子力分野の専門家などからなる審査員団に対して、事業計画を発表し、事業の新規性や実現可能性、発表力を競いました。審査の結果、優勝賞が1チームに授与されました。

コンペティションの様子1(8月11日)

コンペティションの様子2(8月11日)

修了証の授与(8月11日)

優勝チームのメンバー(8月11日)

アワード・レセプション(8月11日)

ニュークリア イノベーション ブートキャンプ 2023 (NIB2023 - JAPAN) 参加者募集

ニュークリア イノベーション ブートキャンプ2023(NIB2023 - JAPAN)が、2023年7月29日 - 8月12日に東京工業大学 大岡山キャンパスで開催されます。
NIBは2016年から毎年米国等で開催されてきた2週間の合宿スタイルのセミナーで、2023年は日本で開催されることとなりました。意欲ある参加者を広く募集します。
なお本事業は、文部科学省の令和5年度補助金交付決定により実施されるものであり、今回の募集は補助金交付決定後の手続きを遅滞なく進めるために、あらかじめ行うものです。

 

ニュークリア イノベーション ブートキャンプ 2023 (NIB2023 - JAPAN) 募集要項  

主催 東京工業大学 原子力イノベーター養成プログラム(Nuclear Innovator Cultivation Program: NICP)
ニュークリア イノベーション アライアンス(Nuclear Innovation Alliance: NIA)
日程 2023年(令和5年)7月29日(土)- 8月12日(土)
開催地 東京工業大学 大岡山キャンパス(福島第一原子力発電所等でのフィールドワークを含みます)
参加資格 A)Undergraduate students in any field who are currently in their third year or later
B)Graduate students (including Ph.D.) in any field
C)Early-career professionals in any field who have been working for less than 5 year
参加者選考 参加希望者は、履歴書、エッセイ、推薦書を提出。参加者の選考結果は2023年3月末までに通知します。
参加費用 ・キャンプ期間中の宿泊、食事、移動は無料
・参加のためのキャンプ開催地(東京工業大学大岡山キャンパス)までの移動は参加者負担
学生参加支援 国内大学・高専に在籍するNIB2023参加学生に対し、NICPから在籍大学・高専所在地から開催地の東京工業大学大岡山キャンパスまでの国内旅費を支給します。 手続きについては、参加者の選考後、参加学生に対してNICP事務局から連絡をいたします。
応募締切 Sunday, February 26, 2023, by 11:59 PM(ET) (日本時間;2023年2月27日(月)13:59)
Sunday, March 12, 2023, by 11:59 PM (ET)(日本時間;2023年3月13日(月) 12:59) 延長!
詳細・申込先 https://www.nuclearinnovationbootcamp.org/apply 
問い合わせ先 原子力イノベーター養成プログラム NICP事務局(nicp[at]zc.iir.titech.ac.jp)

令和4年度 原子力イノベーター養成キャンプ NICC2023 を開催

文部科学省国際原子力人材育成イニシアティブ事業として採択された「原子力イノベーター養成プログラム」(Nuclear Innovator Cultivation Program: NICP)は、そのカリキュラムの一環として、2023年1月9日から18日にかけて「原子力イノベーター養成キャンプ」(Nuclear Innovator Cultivation Camp: NICC2023)を実施いたしました。

NICC2023は、国際会議への参加や、米国主要大学から参加する大学院生との福島第一・第二原子力発電所見学を題材としたグループワークを通じて、国際的に活躍できる原子力のイノベーションを担う人材を育成することを目的としています。

本学の原子核工学コースに所属する修士・博士課程学生6名、およびNICPと提携する米国大学から招待した大学院生4名(テキサスA&M大学、ウィスコンシン大学マディソン校、ミシガン大学、カリフォルニア大学バークレー校)が参加しました。

NICC2023参加者の集合写真 於ゼロカーボンエネルギー研究所

本キャンプは、以下のセッションで構成されました。

  • (ア) 本学のゼロカーボンエネルギー研究所が主催する国際会議 “International Symposium on Zero-Carbon Energy Systems(IZES)”への参加・聴講
  • (イ) ワークショップ(グループワーク・グループ発表)実施/特別講義開講
  • (ウ) 福島第一・第二原子力発電所訪問

(ア) 国際会議IZES 参加・聴講

2016年以降初めて本学ゼロカーボンエネルギー研究所が主催する国際会議IZES(2023年1月10 - 12日)は、新型コロナウイルス感染拡大による2度の延期を経て無事開催し、NICC2023参加学生もNICC2023プログラムの一環として参加・聴講しました。発表テーマは次の6分野と多岐にわたり、専攻・非専攻に関わらず、興味を持てる内容でした。

  1. 再生可能エネルギー技術
  2. 革新的原子力エネルギー技術
  3. カーボンニュートラル技術
  4. エネルギー貯蔵・変換技術
  5. エネルギーシステムにおける物質循環技術
  6. 革新的原子力の応用

国際会議IZES参加者と講演者陣

(イ) ワークショップ/特別講義

ワークショップは次の2つのテーマについて、それぞれディスカッションおよびプレゼンテーションを実施しました。

【ワークショップ テーマ1】最新の研究を踏まえた、カーボンニュートラル社会における革新的原子力システム開発の方向性

国際会議IZESの講演・発表・質疑を聴講し、その中で特に印象に残ったものをもとに「カーボンニュートラル社会実現のために、必要となる原子力開発は何であるか」について検討し発表しました。

1月9日 グループワーク 於北2号館

1月13日 グループ発表 於北2号館

【ワークショップ テーマ2】自然災害に強い革新的原子力システム開発の方向性

福島第一・第二原子力発電所を見学し、そこで得た知見をもとに「自然災害に対しても安全に使用できる原子力システム開発の方向性」について検討し、発表しました。

1月17日 グループ発表 於Jヴィレッジ

1月17日 グループ発表 於Jヴィレッジ

【特別講義1】未来に向けた革新的原子力システムとは

国際会議IZESに先立ち、1月9日に東京工業大学の小原教授による『未来に向けた革新的原子力システムとは』(“Innovative Nuclear Systems for the Future”) の講義がありました。

その後、参加学生は国際会議IZESのプログラムをもとに聴講の計画を立て、グループ毎に発表しました。

【特別講義2】1F事故概要と現在の廃炉状況について

1月13日には、東京電力ホールディングス株式会社 福島第一廃炉推進カンパニーより早田浩平氏を講師に招き、1F事故概要と現在の廃炉状況についての講義を開催しました。

参加学生たちは、福島第一・第二原子力発電所訪問を翌週に控えていたこともあり、積極的に質問をしていました。

講演を行う小原教授

講演を行う早田浩平氏

(ウ) 福島第一・第二原子力発電所訪問

本キャンプの主軸ともいえる福島第一(1F)・第二(2F)原発訪問は、原子力工学や原子力エネルギーを専攻とする学生たちにとって有益な時間となりました。

1月16日は1Fを、17日は2Fを訪問し、それぞれ原子炉建屋他、見学可能施設を巡りました。それぞれの午後は、上述のワークショップ テーマ2にそって、宿泊先でもある福島県双葉郡にあるJヴィレッジの研修室で、ディスカッションやプレゼンテーションを行いました。

1月16日 集合写真 於1F

1月17日 集合写真 於2F

1月17日 集合写真 於2F

1月16日 職員の説明を受けている様子 於1F

1月17日 講義を受けている様子 於2F

1月17日 職員の説明を受けている様子 於2F

参加学生の声

・米国学生:NICCは、米国と日本の学生が一堂に会し、世界の原子力システムの将来について論議する、実に貴重な機会を提供してくれました。このような協働の機会は、エネルギー資源に対するニーズの高まりと、二酸化炭素排出を考慮した政策や、安全なエネルギー生産とのバランスを取るための複雑な議論を始める上で、非常に効果的であったと思います。NICCのようなプログラムは、原子力の未来に貢献しようとする学生にとって、グローバルな視点を促進するものでもありました。

新しい視点に触れる機会は、原子力産業が直面する革新のためには重要です。NICCは、未来の仲間同士が交流し、原子力コミュニティのネットワークを構築する機会も提供してくれました。

NICCは、ゼロカーボンエネルギーに関する最先端の研究に接し、安全かつ災害に強いシステムの重要性を広め、原子力研究における連携とグローバルな視点を促す、学生たちの教育を効率的に向上させる良いプログラムだったと思います。

 

・東工大生:本プログラムでは将来も使うことが予測されている英語でのディスカッション力を鍛えたいと思い、参加しました。今までは3人以上で英語の議論を行うことが多かったことから、そこまで積極的に議論を行ってこなかったのですが、今回は1対1のペアによる活動であったこともあり、かなり闊達な議論を行うことが出来ました。

また、発電所見学では、今までなんとなく復興が進んでいる程度の認識でしたが、職員による説明と質疑応答から、廃止措置の進捗やこれからの予定、事故により、学び改善された部分などを知ることが出来ました。

1月16日 夕食の様子 於Jヴィレッジ

1月17日 修了式 於Jヴィレッジ

令和4年度 原子力イノベーター養成キャンプ NICC2023 募集要項 

東京工業大学では文部科学省国際原子力人材育成イニシアティブ事業として、原子力イノベーター養成プログラム(Nuclear Innovator Cultivation Program: NICP)を実施しています。今年度のNICPの活動として原子力イノベーター養成キャンプ2023(Nuclear Innovator Cultivation Camp: NICC2023)を開催します。

NICC2023は、国際会議参加や、米国主要大学から参加する大学院生との福島第一・第二原子力発電所見学を題材としたグループワークを通じて、国際的に活躍できる原子力のイノベーションを担う人材を育成することを目的としています。意欲ある大学院学生諸君の参加を期待しています。

主催 東京工業大学 原子力イノベーター養成プログラム NICP
日程 2023年(令和5年)1月9日(月・祝)~1月18日(水)
場所 東京工業大学大岡山キャンパスおよび福島第一・第二原子力発電所
参加対象 日本国内の大学院生(日本人学生および留学生)
定員 12名
参加費用 無料
支援内容

#1 開催期間中の宿泊および移動手段はプログラムが提供します。

(東京近郊にお住まいの方には、東京の宿泊施設は提供されません)

#2 通学大学キャンパスから開催地(大岡山)までの往復国内移動もプログラムが支援します。

(日本国内にお住まいの留学生は、開催地までの往復国内移動の支援はありません)

 期間中の食事(代)は全食自己負担です。

応募方法 オンラインフォーム (https://forms.gle/9qsHNaa5riD3Hws48) にてお申し込みください。 
参加申し込み締め切り 2022年10月11日(火)正午
選考 書類とオンライン面接による選考を行います。 オンライン面接では、10分程度の面談による英語能力の確認をします。
選考結果は10月20日(木)に本人にメールで通知します。
オンライン面接実施日時 10月18日(火)13:30~17:00(日時詳細は各応募者に連絡いたします)
問い合わせ先 原子力イノベーター養成プログラムNICP事務局(nicp[at]zc.iir.titech.ac.jp)

令和4年度 原子力イノベーター養成キャンプ NICC2023 プログラム
*予告なく変更する場合があります。 


2023年1月9日(月・祝)
13:30 集合(東京工業大学 大岡山キャンパス)
開会式
オリエンテーション
オープニングレクチャー
グループワーク・発表(グループ活動計画)
17:00 解散(周辺のホテル宿泊、通学可能学生は帰宅)
1月10日(火)~12日(木)
国際会議IZES参加・聴講(東京工業大学 大岡山キャンパス)
*国際会議IZESの詳細はウエブ参照 https://www.izes1.org/
(周辺のホテル宿泊、通学可能学生は帰宅)
1月13日(金)
9:00 集合(東京工業大学 大岡山キャンパス)
グループワーク [テーマ1]
13:00 グループワーク発表会[テーマ1]
15:00 レクチャー
17:00 解散(周辺のホテル宿泊、通学可能学生は帰宅)
1月15日(日)
午後 集合(東京工業大学 大岡山キャンパス *TBA)
福島へ移動(J-ヴィレッジ宿泊)
1月16日(月)
午前 福島第一原子力発電所見学
午後 福島第二原子力発電所見学またはグループワーク[テーマ2]
(J-ヴィレッジ宿泊)
1月17日(火)
午前 グループワーク[テーマ2](J-ヴィレッジ)または福島第二原子力発電所
午後 グループワーク[テーマ2]
(J-ヴィレッジ宿泊)
1月18日(水)
午前 グループワーク発表会[テーマ2]
修了式
チェックアウト
午後 東京へ移動
夕刻 解散(東京工業大学 大岡山キャンパス)
(周辺のホテル宿泊、通学可能学生は帰宅)

グループワーク
3名程度で1グループを構成。与えられたテーマに対してグループごとに検討し、発表会でその結果を発表する。3名のうち1名は米国大学からの招待学生、2名は国内からの参加学生を予定。
○グループワークのテーマ
【テーマ1】
最新の研究を踏まえたカーボンニュートラル社会における革新的原子力システム開発の方向性
国際会議IZESに参加し、講演・発表・質疑を聴講する。その中で特に印象に残った講演・発表をもとに「カーボンニュートラル社会実現のために必要となる原子力開発は何であるか」について検討し発表する。
【テーマ2】
自然災害に強い革新的原子力システム開発の方向性
福島第一・第二原子力発電所を見学し、そこで得た知見をもとに「自然災害に対しても安全に使用できる原子力システム開発の方向性」について検討し発表する。

NIW2022ニュークリア イノベーション ワークショップ(オンライン)を開催 [2022年3月1日]

本プログラムの2021年度活動として、標記ワークショップをオンラインにて開催いたしました。

第1部は4名の講師による招待講演、第2部は「未来社会に向けた先進的原子力教育コンソーシアム(Advanced Nuclear Education Consortium for the Future Society: ANEC)」加盟大学から選抜された12名の学生によるグループワークおよび発表会を行いました。

アジェンダ

NIW2022ニュークリア イノベーション ワークショップ
主催: 東京工業大学 原子力イノベーター養成プログラム
日時: 令和4年(2022年)3月1日(火)9:00 - 16:25
場所: Zoom開催
言語: 英語
司会: 片渕竜也(東京工業大学)
参加学生:

12名(東京工業大学/東海大学/富山高等専門学校/福島工業高等専門学校)

プログラム:
  1. 開会挨拶  プログラム代表 小原徹(東京工業大学)

  2. 招待講演
    1. 講演1  『米国における原子力教育』
      マサチューセッツ工科大学 原子力科学工学科 マイケル・ショート准教授
    2. 講演2  『原子力イノベーション・ブート・キャンプの活動について』(事前収録)
      原子力イノベーション アライアンス
      リバー・ベネット氏/エイドリアン・クエット准教授
    3. 講演3  『原子力機構のHTGR研究開発状況』
      日本原子力研究開発機構 高速炉・新型炉研究開発部門 橘幸男 氏
  3. ワークショップ ファシリテーター:小原徹(東京工業大学)
    1. グループワーク
    2. 発表
  4. 閉会挨拶  プログラム代表    小原徹(東京工業大学)

本ワークショップ開催概要

本ワークショップは、『ニュークリア・イノベーション・ブートキャンプ(NIB)』の日本版の素地となる活動を目指したものです。これは、米国カリフォルニア大学バークレー校で2016年に始まった、主に大学院学生を対象とした、原子力分野でイノベーションをもたらす起業家精神を涵養する合宿スタイルのセミナーです。
本年度は、原子力工学分野の将来に強い関心を持つANEC学生による原子力イノベーションワークショップをオンラインにて開催しました。

招待講演概要

午前には「教育」「社会連携」「研究・開発」各々の視点に基づいた原子力分野の講演会を実施しました。講演者略歴および講演資料については、リンクをご覧ください。

講演1 『米国における原子力教育』
  マサチューセッツ工科大学 原子力科学工学科  マイケル・ショート准教授
 
   
講演2 原子力イノベーション・ブート・キャンプ の活動について』(事前収録)
  原子力イノベーションアライアンス   リバー・ベネット氏エイドリアン・クエット准教授
 
   
講演3 『原子力機構のHTGR研究開発状況』
  日本原子力研究開発機構 高速炉・新型炉研究開発部門  橘幸男 氏
 

グループワーク概要

午後は、3名1グループで、与えられた課題(トピック)について討論し、その結論を投影資料にまとめ、グループごとに発表しました。

各グループに与えられたトピック

グループ

課題

A

原子力が未来の社会に果たすことのできる役割は何か。

B

原子力エネルギーと再生可能エネルギーはどのように利用すべきか。

C

原子力が広く社会に受け入れられるためにすべきことは何か。

D

未来の原子力のため、開発すべき技術は何か。

発表の様子

   

参加学生からの感想

  1. 大変有意義な時間でした。ありがとうございました。
  2. もう少し色々なバックグラウンドの学生がいると、より面白くなると感じました。
  3. ワークショップは大変良かったです。次回は、グループ毎の話し合いで、討論が活性化したり、ひらめきが生まれたりするよう、メンターが適宜立ちあっていただけるとよいかと思います。
  4. 時間に限りはありましたが、様々な学年の学生とグループワークをする機会をいただけて嬉しく思っております。


参加学生およびスタッフの集合写真

東京工業大学原子力エネルギー高度人材育成フォーラムを開催 [2020年12月22日]

本プログラムのキックオフイベントとして、2020年12月22日に標記フォーラムをウエビナーで開催いたしました。フォーラムでは、プログラムの概要の紹介、米国における原子力人材育成活動についての講演、若手を中心としたパネルディスカッションを行いました。フォーラムの記録動画をYouTubeで公開しておりますので是非ご視聴ください。

東京工業大学原子力エネルギー高度人材育成フォーラム
主催: 東京工業大学科学技術創成研究院先導原子力研究所
日時: 令和 2 年(2020 年)12 月 22 日(火) 13:30~16:30
場所: Zoom ウエビナーによる開催
会議言語: 日本語
プログラム:

第1部


  1. 開会挨拶:
    東京工業大学 科学技術創成研究院 先導原子力研究所 所長 竹下健二

  2. 来賓挨拶:
    文部科学省 研究開発局 原子力課(原子力基盤研究・人材室) 室長 鈴木優香

  3. 講演:
    1. 「東京工業大学 原子力エネルギー高度人材育成拠点事業の概要」
      東京工業大学 科学技術創成研究院 先導原子力研究所 小原 徹
    2. “Nuclear Innovation Bootcamp in US”
      「米国のニュークリア・イノベーション・ブートキャンプ活動」(事前収録講演、日本語同時通訳)
      Dr. Adrien Couet (University of Wisconsin – Madison)
      Mr. River Bennett (Nuclear Innovation Alliance)

第2部


  1. 講演:
    1. “Making Nuclear Education Personal, Experiential, and Exciting”
      「原子力教育をより魅力的に」(ライブ講演・日本語同時通訳)
      Prof. Michael Short (Massachusetts Institute of Technology)

第3部


  1. パネルディスカッション:
    「原子力分野の若手による国際活動と海外留学」
    • パネリスト:Michael Short(MIT准教授)、川合康太(IYNC日本代表)、竹澤宏樹(東京都市大講師)、青柳 涼(東工大 修士課程)
    • モデレーター:小原 徹(東工大 教授)
  2. 閉会挨拶:

    東京工業大学大学院 原子核工学コース 主任 小林能直

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