「集まれ高校生!原子力オープンキャンパス」を開催
7月23日、原子力イノベーター養成プログラム(Nuclear Innovator Cultivation Program:NICP)は、令和6年度文科省主催原子力人材育成イベント「集まれ高校生!原子力オープンキャンパス」(以下、オープンキャンパス)を東京工業大学蔵前会館にて開催しました。同イベントは「空想、科学、そして工学へ」をテーマに講演会・ポスターセッションと物理実験実習から構成され、全国から約180人の高校生・高専生が参加しました。
講演会・ポスターセッション
小原徹・NICP代表による開会挨拶、有林浩二・文部科学省研究開発局原子力課長による挨拶に続いて、空想科学読本シリーズの著者である柳田理科雄氏が、「ヒーローたちのエネルギー」と題して講演を行いました。柳田氏は、ホワイトボードを使ってアニメやマンガのヒーローたちの謎や不思議を科学的にわかりやすく解説し、参加者の科学への興味を駆り立てました。
開会挨拶を行う小原徹NICP代表
挨拶を行う有林浩二原子力課長
講演中の柳田理科雄氏1
講演中の柳田理科雄氏2
続くポスターセッションは1時間半にわたって行われ、原子系学科・専攻を持つ14大学、原子力関連の事業を行う8企業・研究機関、未来社会に向けた先進的原子力教育コンソーシアム(ANEC)が出展しました。高校生・高専生たちは2会場にわかれた出展ブースを自由に見学し、出展者との質疑応答を通じて、大学や企業における最先端の原子力研究開発について理解を深めました。
<出展大学・企業・機関(順不同)>
北海道大学・東北大学・東京大学・東京工業大学・長岡技術科学大学・福井大学・福井工業大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学・東京都市大学・早稲田大学・近畿大学・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構・東京電力ホールディングス(株)・(株)IHI・東芝エネルギーシステムズ(株)・日揮グローバル(株)・日立GEニュークリア・エナジー(株)・三菱重工業(株)・ 三菱電機(株)
大学ポスターセッションの様子1
大学ポスターセッションの様子2
大学ポスターセッションの様子3
企業ポスターセッションの様子1
企業ポスターセッションの様子2
企業ポスターセッションの様子3
後半の講演会では、京都フュージョニアリング社共同創業者兼Chief Strategist ・九州大学准教授の武田秀太郎氏を迎え、「フュージョン[地上の太陽]×スタートアップ起業で世界を救う!?」と題した講演がありました。武田先生は、数々の人道支援運動に取り組んできた功績から存命する日本国籍で唯一のマルタ騎士に叙任されています。エネルギー問題の解決を通じて世界平和を目指すという理念のもと、小型核融合炉の開発に取り組む武田先生の講演は参加した高校生・高専生に大きな刺激を与えました。
最後に、山本章夫・ANECプログラム・ディレクタ―が閉会挨拶を行いました。
講演中の武田秀太郎氏1
講演中の武田秀太郎氏2
閉会挨拶を行う山本章夫ANECプログラム・ディレクタ―
講演会場の様子
物理実験実習
7月23日および翌24日、オープンキャンパス参加者を対象に、放射線を使った物理基礎実験実習を東京工業大学ゼロカーボンエネルギー研究所のペレトロン加速器を使用して行いました。実習は、同研究所の片渕竜也准教授の指導のもと3回にわたって行われ、各回11~13人、合計36人が参加しました。参加者は、事前に配布されたテキストにて原子と原子核反応についての基礎知識について予習したうえで実習に臨みました。実験実習では、粒子加速器を用いて中性子が引き起こす原子核反応を観測することで、中性子の性質や中性子と物質との相互作用や原子核反応について学びました。
粒子加速器の説明を行う片渕准教授
実験の解説を行う片渕准教授
講演・ポスターセッション・物理実験実習ともに参加した高校生・高専生には大変好評で、大変有意義だったという声が多数寄せられました。
参加者の声
<講演・ポスターセッション>
- 私は理工系に興味があって原子力に特別に興味があったわけではなかったのですが、今回のご講演やポスターセッションを通して原子力だけでなく色々な分野に興味がもてました!
- 原子力は危なく危険とばかり思っていたがその認識が覆されました。また、安全に使えば私たちの生活をよりよくするための大きな力を秘めたエネルギーなのだとわかりました。貴重なお話をありがとうございました。
- 原子力に関係する企業の取り組みや大学の研究などについて詳しく知ることができて、改めて原子力について興味を持ちました。また、核融合についても深く理解を深めることができたので、自分で詳しく調べてみたいです。
<物理実験実習>
- 専門的で複雑な内容で、テキストを読んだだけでは難しくて理解できない点もあったのですが、当日の説明を受けて大半を理解できたので、とても有意義で楽しい時間でした。
- 中性子やガンマ線の状態をグラフでリアルタイムに見ることができ、より一層原子への関心が高まった。
- 普段見れない機械を近くで見せて頂けてとても貴重な体験ができました。内容は高一の私には難しかったですが有意義な時間を過ごせたとおもいます。
集まれ高校生!原子力オープンキャンパス ― 空想、科学、そして工学へ ―
高校生・高専生を対象とした空想と科学そして最新テクノロジー開発をテーマにした講演会・ポスターセッションを開催します。講演では空想科学読本でおなじみの柳田理科雄さん、小型核融合炉開発に取り組む武田秀太郎先生に講演していただきます。またポスターセッションでは、国内各大学の原子力系学科・専攻、研究機関、企業のポスター展示と説明者との自由な対話を予定しています。また、東京工業大学の実験施設を使った物理実験実習も行います! 参加は無料です。多くの皆さんの参加をお待ちしています。
※申込締切を7月21日(日)に延長しました。
※物理実験実習は定員に達しましたので、申込を締め切りました。
※クリックするとPDFが開きます。
講演者
ヒーローたちのエネルギー |
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柳田 理科雄氏
作家・明治大学兼任講師・空想科学研究所主任研究員。1961年、鹿児島生まれ。96年『空想科学読本』を上梓。99年空想科学研究所を設立し、マンガやアニメ、特撮やゲームなどの世界を科学的に研究する試みを続けている。著書に『ジュニア空想科学読本』『ポケモン空想科学読本』などがある。学校図書館むけに『空想科学図書館通信』を配信。執筆業のほかに、講演会や実験教室、理科好き小学生向けに「空想科学教室」なども行っている。
https://www.kusokagaku.co.jp/
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フュージョン[地上の太陽]×スタートアップ起業で世界を救う!? |
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武田 秀太郎氏
京都フュージョニアリング社共同創業者 兼 Chief Strategist、九州大学都市研究センターフュージョンエネルギー部門 部門長・准教授。「フュージョンを産業に」を掲げる京都大学発スタートアップを創業し、4年半で130億円を超える資金の調達と、100名を超える従業員を抱えるグローバル企業に。京大博士(エネルギー科学)、ハーバード大修士(サステナビリティ学)。国連職員を経て現職。
https://s-takeda.jp/
https://kyotofusioneering.com/ |
概要
プログラム
12:30 |
開場 |
13:00 |
開会挨拶
東京工業大学原子力イノベーター養成プログラムNICP
代表 小原 徹(東京工業大学) |
13:05 |
文部科学省挨拶
文部科学省研究開発局原子力課長 有林浩二 |
13:10~14:00 |
講演
「ヒーローたちのエネルギー」
柳田理科雄 (空想科学研究所) |
14:00~15:30 |
ポスターセッション
各大学原子力系学科・専攻、研究機関、企業によるポスター展示と説明者との対話
<参加大学・企業・機関(予定・順不同)>
北海道大学・東北大学・東京大学・東京工業大学・長岡技術科学大学・福井大学・福井工業大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学・東京都市大学・早稲田大学・近畿大学・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構・東京電力ホールディングス(株)・(株)IHI・東芝エネルギーシステムズ(株)・日揮グローバル(株)・日立GEニュークリア・エナジー(株)・三菱重工業(株)・ 三菱電機(株) |
15:30~16:20 |
講演
「フュージョン[地上の太陽]×スタートアップ起業で世界を救う!? 」
武田秀太郎 (九州大学・京都フュージョニアリング) |
16:20 |
閉会挨拶
未来社会に向けた先進的原子力教育コンソーシアムANEC
プログラム・ディレクター 山本章夫(名古屋大学) |
参加資格 |
高校生・高専生 |
定員 |
300名(先着順) |
参加費 |
無料(但し、交通費のご負担をお願いいたします。) |
申込方法 |
こちらよりお申込みください |
申込締切 |
令和6年7月15日(月) 7月21日(日) 延長! |
「集まれ高校生!原子力オープンキャンパス」物理実験実習
※物理実験実習は定員に達しましたので、申込を締め切りました。
「集まれ高校生!原子力オープンキャンパス」の参加者を対象とした放射線を使った物理の基礎実験の実習を行います。学校ではなかなか経験できない放射線を使った実験を東京工業大学の研究施設を使って行います。
粒子加速器による原子核反応の実験
中性子による核分裂反応は原子力エネルギーの源です。また、中性子はがん治療などの原子力エネルギー以外の分野でも使われています。したがって、中性子が引き起こす原子核反応を理解することは原子力工学において非常に大切です。この実習では粒子加速器を用いて中性子を発生させ、中性子が引き起こす原子核反応を放射線検出器を用いて観測します。実習を通じて中性子と物質との相互作用や原子核反応に関する理解を深めることが狙いです。
日程 |
令和6年(2024年)7月23日(火) 9:00~11:30 |
集合 |
東京工業大学蔵前会館 アクセス |
会場 |
東京工業大学科学技術創成研究院ゼロカーボンエネルギー研究所
(東京都目黒区大岡山2-12-1 最寄り駅:東急目黒線・大井町線大岡山駅または緑が丘駅) アクセス |
参加資格 |
「集まれ高校生!原子力オープンキャンパス」に参加する高校生・高専生 |
定員 |
15名 |
参加費 |
無料(但し、昼食の準備をお願いいたします。また、持参した昼食を食べる場所はあります。大学内の学食等を利用することもできます。) |
申込方法
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こちらよりお申込みください 申込終了
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申込締切
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令和6年7月8日(月)
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お問い合わせ
東京工業大学 原子力イノベーター養成プログラム事務局
E-mail: nicp@zc.iir.titech.ac.jp